貸切バスの交代運転手(ツーマン運行)について
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貸切バスの交代運転手について

スケジュールを自由自在に決められる貸切バス。
観光旅行や合宿送迎などいろいろな用途で利用されていますが、スケジュールによっては運転手さんが2名で運行すること(=ツーマン運行)があるのを知っていますか?
国土交通省の定める、貸切バスの安全を確保するための決まり「交替運転手の配置基準」によって、運転手1名では運行できない場合があるんです。
運転手2名になると、当然バス料金も高額に…。
「見積りをとったけど、料金が高すぎる!!」という場合は、運転手2名での運行になっているかもしれません。
料金が高すぎてバスのレンタルをあきらめる前に、一度確認してみましょう!

交代運転手の配置基準とは?

長距離・長時間、また深夜運行などにあたる場合には、交代要員として運転手をもう1名乗車させること(ツーマン運行)が必須です。

2012年関越自動車道で起きた高速ツアーバスの衝突事故を受けて、国土交通省が内容を改定したのが「貸切バスの交替(交代)運転手の配置基準」。

この事故は、1名の運転手が長距離・長時間の無理な運行によって居眠り運転をしたのが原因。
事故以前にも交代運転手についての決まりはありましたが、貸切バスの安全運行を確保するために、より厳しい内容に改められたのです。

運転手1名で運行(ワンマン運行)できる条件が明確に決められ、バス会社はそれを順守しなければなりません。

ワンマン運行(運転手1名)の条件は?

1人の運転手の拘束時間(労働時間)は、原則1日最大で13時間までです。

注意しなければならないのは、運転時間ではなく『拘束時間(=労働時間)』というところ。
乗客がバスに乗ってから降りるまでが13時間ではありませんよ!
運行前のバスの安全点検から車庫の出発、運行中(乗客乗車中)、車庫に戻ってからの点検、ここまでが拘束時間です。

運行前後の点検時間はあわせて2時間と決まっていて、さらに車庫~乗降場所への移動時間(回送時間)も拘束時間に含まれます。
つまり、実際に乗客がバスを使える時間は最大でも9~10時間程度ということになります。

拘束時間(労働時間)

1人の運転手で1日運転してよい時間(ハンドル時間)は?

1日の運転時間は原則9時間までです。
運転手の拘束時間(労働時間)は最大13時間でしたが、このうちバスを運転できる(ハンドルを握っていられる)のは9時間まで、ということ。

たとえば、東京~大阪へ貸切バスで行きたい!という場合。
バスだと片道で7~8時間ほどかかり、なおかつ回送時間も追加するとワンマン運行は不可能と考えておきましょう。

ちなみに、1泊2日でバスを使う場合、2日間の運転時間が平均9時間までになれば大丈夫。
1日目が10時間で、2日目が8時間はOK。1日目10時間で、2日目10時間はNGです。

運転時間

1人の運転手が連続して運転してよい時間(連続運転時間)は?

連続して運転できる時間は、原則2時間まで。

9時間運転していいからといって、機械のように続けては運転できません!
原則として2時間に1回、15分の休憩を挟む必要があります。
休憩はPAやSAでとることが多いですが、2時間で目的地に到着して乗客が降車、運転手はその場で待機、という場合は待機時間が休憩になります。

1人の運転手で移動してよい距離は?

1人の運転手がお客様をバスに乗せて移動する距離のことを“実車距離” といいます。
バス会社からお客様が乗降する場所まで、運転手がバスを走らせる分は “回送” です。
1人の運転手が1日に移動してもよい実車距離は、原則昼間は500km、夜間は400kmまでです。
(諸条件により最大で昼間は600km、夜間は500kmまで走行可能)
ただし、お客様が乗車していない回送分の距離は、この500km(夜間は400km)には含まれません。
例えば、合宿等で片道300kmかかるところの送迎をお願いし、いったんバスを返したいという場合、往復で600kmになりますが運転手1人で運転することは可能です。
ただし、バスの回送分を含めた運転時間が最大拘束時間(13時間)を超えないことが条件。
超えてしまう場合は、やはり交替運転手が必要になるのでご注意を。

運転時間

運転手の休息時間は?

1回の運行(拘束時間)から次の運行(拘束時間)までに、運転手は連続して9時間以上の休息をとらなければなりません。

例えば、1日目は観光を楽しんで、21:00に宿泊場所に到着して終了(※運転手は点検のため22:00に業務終了)。
2日目は早朝5:00に出発したい!という場合、運転手は1日目の業務終了時から、2日目の業務開始までに9時間以上の休息をとれないのでNG!
早くても8:00の出発でないと運行できません(※運転手は乗車前点検のため7:00に業務開始)。
また、運転手の休息場所は、個室で1泊2食付きが原則。
バスの中では休息時間とみなされませんので、宿泊利用の場合は乗客による運転手の宿泊場所手配が必須になります。
なお、日帰り利用の場合は、特に気にしないで大丈夫です。

運転手が2名になると、バス料金はどのぐらい高いの?

貸切バスの料金は利用時間と距離によって計算しますが、運転手2名での運行だと料金が割り増しになります。
ドライバーの人件費がプラスされるので、1.5~2倍ほど。※スケジュールによって異なります

知ってると得をする?貸切バスツーマン運行の豆知識

マイクロバスはツーマン不可!?

残念ながら、マイクロバスの場合は運転手2名での運行はできません。
マイクロバスは本来、送迎や短時間の利用に特化したバスタイプ。
座席は他のバスタイプに比べて簡素な作りのものが多く、長時間・長距離の運行には向かないのです。
小型バスならツーマン運行が可能で、料金もマイクロバスと同じ。
ただし、台数が少ないレアなバスなので希望日に予約が取れない可能性があります。
20名以上なら中型バスも検討しましょう。

運転手2名での運行だと、バスの定員数が少なくなる!?

運転をしておらず、待機しているドライバーは座席のどこにいるのでしょうか?
実は待機場所は決まっていて、運転席のすぐ後ろの座席(2席分)を使わせていただきます。
運転手2名での運行の場合は、この席を空けておく必要があるので乗客は利用できません。
つまり、本来のバスの定員数よりも正座席2席分少なくなるので、ご注意くださいね。

貸切バスの交代運転手(ツーマン運行)まとめ

  • 運転手の1日最大拘束時間(労働時間)は、13時間まで(点呼、回送含む)
  • 1日の運転時間は9時間まで
  • お客様を乗せての走行距離は500kmまで(実車分のみで回送分は含まず)
  • 2時間ごとに15分の休憩が必要
  • 2運行の間に、運転手は9時間以上の休息をしなければならない
  • ワンマンとツーマンのバス料金差は、1.5~2倍ほど
  • マイクロバスはツーマン運行不可

貸切バスはお客様の思い通りの使い方で利用できますが、だからといって「なんでもアリ」ではありません。
運転手への無理強いや無理なスケジュールでの運行は、乗客の安全輸送に大きく関わるということを理解して、賢くバスを使ってくださいね!

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